らいおん
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リンキング(linking)=連結とは
英語を1語1語ゆっくりと丁寧に話す場合、それぞれの語は比較的きちんと発音されます。しかし、通常の速度(またはそれ以上)で話す場合、複数の語が結びついて1つの語であるかのように発音されるのが普通です。
例えば、keep an eye という3語を読むときは、
のようになめなかに発音されます。
このように、隣り合う2つ以上の単語がつながり合う現象を 「リンキング(linking)]=「連結」といいます。
英語では、「音の連結(linking)」、そして「脱落(elision)」、「同化(assimilation)」などといった音声変化が起こりますが、この記事ではその中の、keep͜ an͜ eye のような「リンキング」と呼ばれる音の連結(linking)について簡単に解説します。
音の連結「リンキング(linking)」はどんな時に起こる?
音の連結であるリンキングはどのようなときに起こるのでしょうか?服部範子著「入門英語音声学」(研究社)P.60によるとリンキングは、
基本的には、単語の語末の子音と、次に来る単語の語頭の母音の間でよく起こります。
とあります。
また、山根繁著「コミュニケーションのための英語音声学研究」の第7章「音声変化」にも、
2つの語が連続する場合、前の語が子音で終わり、次の語が母音で始まると、その子音と母音が結びついて1つの音節のように発音されます
と同様の説明があります。つまり、基本的に
「語末の子音」+「語頭の母音」
がつながってリンキングが起こる、と理解しましょう。
リンキングが起きるのに影響を与える要素
Celce-Murcia et al. (2010) の P. 165によると、リンキングの起きる頻度は、
- 発話の場面がどれほど「くだけて」いるか
- 発話の速度
- 発話者個人の特徴
などにも依存するとしています。
カジュアルな発話場面で、発話速度の速い場合、linking(連結)が起こりやすくなると言えます。
「語末の子音」+「語頭母音」のリンキングの例
では以下で「語末の子音」+「語頭母音」というパターンをもう少し見てみましょう。本記事冒頭で keep͜ an͜ eye の例を紹介しましたが、他にも
- an͜ aim
- car͜ is
- like͜ it
- stop͜ it
- first͜ of͜ all
- in͜ an͜ apartment
…など、例を上げればキリがないくらいリンキングの例があります。
リンキングは「語末の子音」+「語頭の母音」が基本だけど他のパターンも?
リンキングは上記のとおり、「子音」+「母音」というのが基本ですが、本記事では「番外編」としてあと2つ、
- 「子音」+ /j/
- 「母音」+ [w] or [j]+「母音」
でつながる、と考えることができるパターンも紹介したいと思います。
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子音+/j/ のリンキング
「子音」+/j/ のリンキングは、
- can͜ you
- thank͜ you
- help͜ yourself
- have͜ you
などで起こります。例えば、can you は「キャニュー」のような感じで連結します。thank you も /k/ + you は「キュー」とつながります。
なぜ子音と /j/ はつながる?
ところで、なぜ子音と /j/ は音をつながることができるのでしょうか?これに関して 「コミュニケーションのための英語音声学研究」P. 165では、
という説明があります。
「母音」+「母音」がつながる?
最後に、「母音」+「母音」を [w] や [j] でスムーズにつなげるパターンを見てみましょう。これは、
- 「母音」+ [w] +「母音」
- 「母音」+ [j] +「母音」
のようにわたり音の [w] [j] でつながると考えることができるパターンです。
「母音」+ [w] +「母音」:わたり音 w でつながる
まず、[w] の
「母音」+ [w] +「母音」
のときですが、これは簡単に言うと、語尾に「ウ」の母音があり、その次の語のはじめが母音で始まっているときに、「小さな w 音」が間に入りつながってスムーズに読まれる、というものです。
- do it → do͜ ʷit
- go away → go͜ ʷaway
- now is → now͜ ʷis
「母音」+ [j] +「母音」:わたり音 j でつながる
次に、[j] の
「母音」+ [j] +「母音」
のときですが、これは簡単に言うと、語尾に「イ」の母音があり、その次の語のはじめが母音で始まっているときに、「小さな j 音」が間に入りつながってスムーズに読まれる、というものです。
- say it → say͜ ʲit
- stay up → stay͜ ʲup
- be able → be͜ ʲable
ただし、以下の Geoff Lindsey の動画の紹介記事で紹介しているように、「glide は後から挿入されているものではない」という考え方もあるようです。 【English After RPの著者】Geoff Lindsey の YouTube動画
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しかし経験上、このような [w] [j] を学習者が知っているとよりスムーズに読むことができると思うので本記事では紹介しました。参考にしてください!
サラ
まとめ:リンキングが起こるとき
ここまでをまとめると、以下のように整理できます。
繰り返しますが、リンキングはまず「語末子音」+「語頭母音」がつながることを理解すればOKです。本記事ではその他のパターンもまとめて整理したほうが理解が深まると思ったので一気に扱いました。
- 「語末子音」+「語頭母音」 ← これがリンキングの基本
- 「語末子音」+ /j/ ← 覚えておくと便利
- 「語末母音」+ [w] or [j] +「語頭母音」 ← 覚えておくと便利
ひよこ
らいおん
a name と an aim は同じ発音?
最後に、リンキングに関連してですが、
- a name
- an aim
をスムーズに読んだとき、これらは同じような発音に聞こえますが、 “完全に同じ” 発音だと思いますか?
ちょこっと上級向けの記事ですが、a name vs an aim が “完全に同じ” 発音かどうかはこちらの記事で整理しているので合わせてご覧ください。
【単語間の音連続】a name と an aim は全く同じ発音か?
look out がリンキングすると aspiration は起こる?:気音(帯気音)について
またこちらもちょっと上級ですが、look out のような場合で、この2語がつながって読まれるとき、 /k/ は気音= aspiration を伴うのでしょうか?
「リンキング」と「リエゾン」は違う?
なお、リンキングの説明の前に、英語の発音の説明をする時によく「リンキング」=「リエゾン」と説明されていることも多いようですが、これは誤りで、リンキングとリエゾンは別物です。