サラ
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日本人英語学習者の冠詞の誤り
この記事では鈴木孝明、白畑知彦 著の「ことばの習得―母語習得と第二言語習得 」(くろしお出版)から
について印象に残った記述を1つ紹介します。
自分の備忘録も兼ねた短い記事になっていますのでご了承下さい。
らいおん
ひよこ
日本人英語学習者の冠詞の誤りは「脱落」が最も多い
冠詞は日本人英語学習者にとって最も習得が難しい文法項目の1つだと言われていますが、
日本人英語学習者の冠詞の誤りの中で、必要な冠詞を省いてしまう「脱落」が最も多いエラー
であるようです。(要約しながら参照しています)
日本語母語話者の冠詞の誤りについての研究では the の誤りの約95%、そして、a の誤りの約70%が冠詞を省いてしまう「欠落」であることが分かった
とのことです。
a↔an↔the…:「置換タイプ」の冠詞エラー
一方で、
- the にすべきところを a/an にした誤りは全体の4.8%
- an とすべきところを a と発話した誤りは9.9%
ということで、「置換タイプ」の冠詞エラーは全体の1割以下だったようです。
らいおん
日本人英語学習者の冠詞習得傾向の分析
関連して、以下の「エラータグ付き 日本人英語学習者発話コーパスを用いた学習者の冠詞習得傾向の分析」という論文もぜひ読んでみましょう。短く非常に分かりやすくまとまっており、結果もとても興味深い内容となっています。
エラータグ付き 日本人英語学習者発話コーパスを用いた学習者の冠詞習得傾向の分析
日本人英語学習者が最も習得が難しい文法項目は「冠詞」?
この調査では、
で、初級・中級・上級の全レベルにおいて、冠詞のエラーは「脱落」タイプが最も多く見られたという結果になったようです。
なお、「脱落」のエラーでは、
が見られたようです。
冠詞エラーの3つのタイプ:脱落・余剰・置換
また、この調査では冠詞のエラーの種類を
- 脱落タイプ:必要な箇所で冠詞を付け忘れる
- 余剰タイプ:不必要な箇所に冠詞が用いられている
- 置換タイプ:ある冠詞が必要な箇所に誤った冠詞、もしくはその他の決定詞が付けられているケース
の3つのタイプに分類しています。
非常に興味深い結果なのでぜひ上記リンクの論文を読んでみましょう。
おすすめの1冊:鈴木孝明、白畑知彦 著「ことばの習得―母語習得と第二言語習得 」(くろしお出版)
らいおん
ひよこ
冠詞のツイート
書籍などを読んでいて印象に残った記述などはTwitterでもつぶやいています。ぜひTwitterもチェックしてみてくださいね。
…日本人英語学習者のエラーで最も多く出現したのが「冠詞」であった
初級・中級・上級の全レベルにおいて、冠詞のエラーは「脱落」タイプが最も多く見られた
「脱落」のエラーで、定冠詞(the)よりも否定冠詞(a/an)がより頻繁に脱落する傾向が見られる…https://t.co/ujNj4hP8Ty
— サラ🌐 「Q&Aサイトから読むアメリカのリアル」発売しました!🇺🇸 (@salah_backpack) August 6, 2021
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