【うなぎ文とは?】日本語と英語の違い:主題優勢言語 vs 主語優勢言語

らいおん

英語学習者なら知っておきたいわゆる「うなぎ文」について解説するよ!
うなぎ文から日本語と英語の違いを簡単に整理するよ!

ひよこ

この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

うなぎ文とは

まずは「うなぎ文」がどういう文かを見てみましょう。

A: 僕はカレーを食べようかな。君は何食べる?

 

B: 僕はウナギだ

Bのような文を「うなぎ文」と呼びます。

 

うなぎ文を英語にすると

上記の会話は、日本語ではBの発話は自然ですが、英語で I’m an eel. とは言えませんね。このことから言語学の世界ではこのようなうなぎ文がしばしば日本語と英語の違いを論ずる時に引き合いに出されます。

 

うなぎ文の日本語の例

他のうなぎ文も見てみましょう。

僕は筋肉痛だ。
私の高校は制服でした。

上記日本文は「英語指導における効果的な誤り訂正 ― 第二言語習得研究の見地から:白畑知彦著」より引用

らいおん

例えば「私の高校は制服でした」を見てみると、「私の高校は」の部分は「私の高校について言えば」のように、「〜について言えば」と解釈することができ、「主語」というより「話題」「主題」のことを言っているのが分かるね!

 

日本語は主題優勢言語:topic prominent language

さて、このような日本語と英語の違いが生まれる理由として、日本語は

主題(topic)が卓立した、主題優勢言語topic prominent language である

ことが挙げられます。topic prominent language は「話題卓越性言語」と呼ばれることもあります。

なるほど、日本語は「主題・話題が卓立」しているんだね、でもちょっと難しいね!

ひよこ

らいおん

以下でもう少し詳しく見ていこう!

 

話題化 = topicalization とは

「私の高校は制服だった」の例ように、日本語ではその文の中で強調したい要素を格助詞「は」を伴って「話題句」として文頭に持っていくことができ、これを

話題化topicalization

と呼びます。

 

「〜について言えば」=「話題」と考えると分かりやすい

「主題・話題」ですが先程見たように、〜について言えば」を補って考えてみると分かりやすいでしょう。

例えば「僕はうなぎだ」なら、「について言えば、注文するものはうなぎだ」と解釈できますね。このように「に〜について言えば」を補って考えると主題・話題のことを言っていることがより理解できるかと思います。

 

主題優勢言語 topic prominent language の言語

Wikipediaの「主題優勢言語」の記事では

主題優勢言語とは…必ずしも「主語」を要さず、また、それに相当する「主題」が、統語的とは限らず言語によって格助詞などで示されたりする言語である…

 

例としては、日本語、朝鮮語、中国語、インドネシア語など東・東南アジアの諸言語がある。

と説明されています。

 

英語は主語優勢言語:subject prominent language

一方、英語は

主語(動作主)が明示される主語優勢言語 = subject prominent language

と呼ばれます。または、「主語卓越言語」とも呼ばれます。このため、

英語では基本的に主語が明示される 

のです。一方、前述の例で見た通り、

日本語では話題だけが明示されて必ずしも主語が明示されていないことがある

ということに注意を払う必要があります。

 

「〇〇は〜だ」という日本語を英語にする時は注意

よって、「〇〇は〜だ」という日本語を英語にする時は注意が必要で、「僕はうなぎだ」「僕は筋肉痛だ」「私の高校は制服でした」のように話題が提示されている時は主語が何なのかを考える必要があります

 

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