【英語のイントネーション】文アクセントについて

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この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

J.C. ウェルズ「英語のイントネーション」(研究社):English Intonation ― An Introduction

この記事はイントネーションに関する記事ですが、発音指導者または、発音上級者向けの内容です。J.C. ウェルズ「英語のイントネーション」(研究社)をだいたい理解しているレベルの学習者向けの記事ですのでご了承ください。

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イントネーション句(Intonation Phrase)内のアクセント

Intonation Phrase = IP は「イントネーション句」と呼ばれますが、「イントネーション句内のアクセント」についてウェルズ「英語のイントネーション」の解説を簡単に紹介します(ここからはウェルズはWellsと呼びます)。

 

イントネーション句(Intonation Phrase)の長さとアクセントの数

Wellsによると、イントネーション句の長さとアクセントの数については以下の記述がありました。

イントネーション句の長さとアクセントの数
  1. 普通IPは普通1秒から2秒(Trench, 1936)
  2. 1つのIPは通例、アクセントを1つか2つしか持たない = 核が1つだけか、オンセット(onset)と核の2つか
  3. それほど多くないが、アクセントが3つの場合もある→その場合は複合頭部となる
  4. さらに珍しいがアクセントがIP内で4つや5つの場合もある。5つがおそらく上限であろう。

上記表の2番目のポイントの「1つのIPは通例、アクセントを1つか2つしか持たない = 核が1つだけか、オンセットと核の2つか」ということですが、これは以下で整理する除アクセント(deaccent)も関係してきます。

 

除アクセント(deaccent)= 降格(downgrade)とは

IP内でどこにアクセントを付与するかは、IP内における全ての潜在的アクセント(potential accent)の吟味から始めることになりますが、本来アクセントを受ける可能性のある部分がアクセントを受けないで、

除アクセント(deaccent)= 降格(downgrade

されることがかなり頻繁に起こります。Wellsでは降格について以下のような記述があります。

  • 降格は、あるアクセントが同一IP内で他の2つのアクセントに挟まれた時にはいつでも起こる傾向にある
  • 話すスピードが速くなればなるほど、また使う語がよりなじみ深いものになるほど、アクセントを降格する傾向はより強くなる

 

三連規則 = rule of three

また、降格に関して以下のような説明もあります。特に「三連規則 = rule of three」と呼ばれるルールはぜひ覚えておきたい非常に重要な規則です。

  • 降格の原理は、アクセントあるいは強勢が3つ連続する場合に真ん中のものを弱化させるため、時として「三連規則 = rule of three」と呼ばれる。
  • 潜在的アクセントがもっと長い連鎖になっているような場合には、話し手にはどれを降格させるかについて、かなりの自由裁量がある。しかし、オンセットと核のアクセントは常に影響を受けない

 

語彙強勢が発話内でアクセントとして反映されない主な理由

まとめとして「語彙強勢が発話内でアクセントとして反映されない主な理由」は以下のように整理されています。

語彙強勢が発話内でアクセントとして反映されない主な理由は以下の2つである:

 

①その語彙アクセントがオンセットに先行する場合か、核に後続するかのどちらか

 

②降格されている

 

イントネーションの指導では文アクセントをどうするか

ここからはイントネーション指導者目線での僕のボヤキです!

サラ

さて、deaccent を考慮すると、つまり多くのIPではオンセットと核以外は弱くなることも普通だと言えますね。(そしてWellsの本の例文やエクササイズの至るところでもそれは見られます)。

そうすると、イントネーションを指導する時に生徒さんによく聞く

  • 「次のカタマリのなかで”内容語と機能語”  = “弱く読むところと強く読むところ”はどこですか?」
  • 「強いところを目立たせて、弱いところを弱く読んでみてください」

という問いかけは、ほとんどの場合、必要以上に多くの語(部分)にアクセントを付与させ過ぎているとも言えると思います…。

 

潜在的アクセントの吟味から始めて様々なバリエーションで練習するのがよいか

イントネーションでは、IPにおける全ての潜在的アクセント(potential accent)の吟味から始めるのは鉄則ですが、全てのアクセントを目立たせて読む練習と、「このカタマリの中には強く読まれるところがたくさんありますが、オンセットと核だけ強く読んでみましょう!」のような指導と、バランスよく練習させるのがよいのか、正直迷うところです。

つまり、

deaccetが起こらない場合と、deaccentが起こっている場合の練習を両方行う

という感じ。少し回りくどいかもしれませんが、一般英語学習者にイントネーションを教える時は、このようなアプローチも必要なのではと感じます。

 

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