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カナダ英語でaboutは本当に「a boot」「a boat」と発音する?
この記事では、カナダ英語ではaboutが「a boot」「a boat」のように発音されるのか、ということについて、簡単に整理していきたいと思います。
カナダ訛りの特徴:aboutの発音
カナダ英語の特徴はいくつかありますが、最もよく話題に上がるのは about の発音がまるで
- a boot
- a boat
などのように聞こえる、ということでしょう。
また、about が「aboot」のように聞こえると言われることが多いと思いますが、この記事では学習者がよりイメージしやすいように a boot, a boat のように表すことにします。
「a boot」「a boat」は exaggerated な訛り?
結論から言うと、実際、「about の発音が aboot のようになる」というのは少し大げさで、過度に誇張された(exaggerated)カナダ英語発音のことと言えます。そのような発音を聞くことはない、という意味ではないですが、「誇張されたコテコテ発音」=「steriotypicalな発音」という感じで捉えると言いでしょう。
しかし、カナダ英語でaboutの二重母音/aʊ/などが標準アメリカ英語とはしばしば異なる音質になることは確かです。これについて以下で少し実際の動画や音声で確認していきましょう。
aboutの実際のカナダ英語の音声
以下の動画を見ると分かるように、程度の差はあれ、about にカナダ訛りがあるのが分かります。以下の動画は2分程度で見れる動画なのでぜひ見てみましょう。
左の黄色の服の女性がバンクーバー出身で右の背の高い方の女性がトロント出身です。2人とも程度の差はありますが、カナダ訛りがあるのがはっきり分かります。
Canadian raising:houseの発音にも注目
動画後半でも触れられていますが、この現象は Canadian raising と呼ばれる現象が関係しています。動画内の house の二重母音が音質が標準アメリカ英語などと比べるとかなり異なっているのが分かるかと思います。
Canadian raisingの発音:音声サンプル
前述しましたが、実際はコテコテの「a boot」「a boat」のような発音を聞くことはそれほど多くはないと言えます。以下の動画の3番目の発音は「かなり誇張されたコテコテ発音」の例です。
outの発音:①Canadian raisingなし→②Canadian raisingあり→③誇張されたCanadian raising
LikeANativeSpeakerのYouTube「Canadian raising」より
あくまで about が aboot の発音の”ように聞こえる”と捉えよう
York大学 の「Canadian raising and other oddities」という記事でも、
To American ears, the Canadian pronunciation of about often sounds like aboot, but this is only an illusion.
アメリカ人の耳にはカナダ英語発音の about は aboot のように聞こえるが、これは思い違いに過ぎない。
という記述があり、厳密には about が aboot の発音になるということではないとあります。あくまでも about が aboot の発音の”ように聞こえる”、と捉えるとよいでしょう。
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