error の発音が air のように聞こえる?

この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

error の発音が air のように聞こえる時がある?

この記事は「error の発音が air “のように”聞こえる?」ということについて、自分の備忘録も兼ねて書いておきます。なお、この記事の後半は少し上級者向けになります。

タイトルの通りですが、「error の発音が air のように聞こえる」と感じたことはありませんか?しかし、どの辞書を見ても error /ˈerɚ/ が air /ˈeɚ/と同音になる、という記載はありません

また、僕は現在発音・音声学書籍を70冊程度読んでいますが、自分の知る限りはこのことに関する詳細な記述を見つけられていません(後述の記事を除く)。ネイティブの友達に聞いてみても、「error は error であり、air でない」、と言われます。

 

error /ˈerɚ/ が air /ˈeɚ/ “のように”聞こえる?

細かく言うと error /ˈerɚ/ が”完全に” air /ˈeɚ/ になるというより、error が air “のように”聞こえる時がある、ということで、これは、air のように /ˈeɚ/ と発音されているというより、error が [ˈeɚː] のような発音に聞こえる、という感じです。

 

terror が /ˈterɚ/ がtear /ˈteɚ/ “のように”聞こえる?

同様に、terror /ˈterɚ/ が tear “のように”聞こえると感じたことはありませんか?これも terror が”ほとんど” tear のように聞こえるという感じですが、terror が [ˈteɚː] のような発音に感じるという感覚です。

 

terror の発音

以下が terror の実際の音源です。[ˈteɚː] のように聞こえると言えるのでないかと思います。

NBC Newsより

 

lecturer の発音は ˈlektʃɚː ?!

さて、ここからがある意味でこの記事の本題になります。本サイトでも度々紹介していますが、牧野武彦先生の「『文レベルで徹底 英語発音トレーニング』における ɚ + ɚ(nearer, there are など)の扱い」という記事では以下の記述があります。

ɚの後にɚが続くもの(nearerのような形容詞・副詞の比較級やlecturer のような動詞に-erが付いたもの、あるいはthere areのような単語連続)で単にɚが長くなるだけと踏み込んだ(用例284~285)のは、発音学習書ではもしかしたら僕が最初かも知れません。…

 

Merriam Webster Learner’s Dictionary (MWLD) では lecturerˈlɛktʃɚrɚという表記を与えていますが、これは表記のための表記になってしまっていると思います。…

 

音素表記(区別すべき音の一覧を予め確定し、それに対応する記号のみを用いた表記)からは離れてしまいますが、ˈlektʃɚː のような表記の方が恐らく実際の発音を反映しているし、学習者が発音する助けになるでしょう。

これに関して、『文レベルで徹底 英語発音トレーニング』のP. 172~173の用例284~285の補足を以下に引用します。

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nearer の発言は [ˈnɪɚː] ?!

まずは nearer の発音についての解説を引用します。

nearerの発言

nearer は near /ˈnɪɚ/ + -er /ɚ/ で、本書の表記法を使うと /ˈnɪrɚ/ となるが、/r/ = /ɚ/ であるため、実際には /ɪ/ の後で /ɚ/ を長く伸ばした [ˈnɪɚː] のような発音になる(つまり、原級の near との違いは /ɚ/ の長さになる)。

 

mirror と lecturer の発音は?!

次に、mirrorlecturer の発音の解説を引用します。

mirrorとlecturerの発音

…同様の発音は mirror /ˈmɪrɚ/ [ˈmɪɚː]、  lecturer /ˈlektʃɚrɚ/ → [ˈlektʃɚː] などでも行われる(mere /ˈmɪɚ/ 。lecture /ˈlektʃɚ/ と比べて /ɚ/ が長くなるだけ)

 

there are の発音は?!

最後に、there are の発音の解説を引用します。

there areの発音

存在文の there はアクセントを受けないが、ここでは文頭のため強形になっている。次の are の発音は弱形 /ɚ/ のため、There are は /ɚ/ が長くなった [ˈðeɚː] のようになっている

 

error, terror の発音:結論

さて、ここまでを整理すると、

mirror /ˈmɪrɚ/ の発音は mere /ˈmɪɚ/ と比べて /ɚ/ が長くなるだけで [ˈmɪɚː] と考えればよい

ということでした。よって、この考え方を error と tear にも採用すれば

この記事のまとめ
  • error /ˈerɚ/ は [ˈeɚː] 
  • terror /ˈterɚ/ は [ˈteɚː] 

のような発音と捉えればよい、と言えるかもしれません。

らいおん

このことに関して何か分かったらまたこの記事に追記したいと思います!

 

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