らいおん
ひよこ
サラ
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音の連結「リンキング(linking)」とは
英語を1語1語ゆっくりと丁寧に話す場合、それぞれの語は比較的きちんと発音されます。しかし、通常の速度(またはそれ以上)で話す場合、複数の語が結びついて1つの語であるかのように発音されるのが普通です。
例えば、keep an eye という3語を読むときは、
のようになめなかに発音されます。
英語ではこのように、隣り合う2つ以上の単語がつながり合う現象を 「リンキング(linking)」=「連結」といいます。
リンキング:「語尾の子音」+「語頭の母音」がつながる
リンキングは基本的に
「語尾の子音」+「語頭の母音」がつながる
現象です。
keep͜ an͜ eyeなら、keep͜ an でも an͜ eye でも、「語尾の子音」+「語頭の母音」がつながっているのが分かります。
「リンキング」と「リエゾン」は違う?
さて、このような keep͜ an͜ eye のような音の連結の説明のとき、「リンキング」=「リエゾン」である、と説明されているのを聞いたことはありませんか?
しかし、「リンキング」と「リエゾン」は異なります。keep͜ an͜ eye は「リンキング」の例とは言えますが、リエゾンの例としては適切ではないと言えるでしょう。
らいおん
リエゾン(liaison)とは
では リエゾン(liaison)とはどのようなときに使われるのでしょうか?
まず、オーレックス英和辞典では
…リエゾン
語尾の黙子音が次の頭母音と結合して発音されること。特にフランス語に見られる
という説明があります。
ひよこ
リエゾン:もともと読まない音が、つながって読まれるときに読まれること
上記説明がピンとこない人もいるでしょう。簡単に言うと、
単独で語を読むときにはもともと読まない音が、後続の語とつながって読まれる時には読まれること
で、このような音が語と語をつなげることを「リエゾン」と言います。
英語でのリエゾン:r-liaison
英語でのリエゾンは、一部の場合に限定されます。r-liaison と呼ばれる現象だけおさえておけばいいでしょう。
例えば non-rhotic と呼ばれるイギリス英語の方言では、far という語を単独で発音するときに r は発音されませんが、
されます。
このような r は linking r と呼ばれますが、これが英語でのリエゾンの一例になります。
よって、
と整理してよさそうです。
その他の方言、例えばアメリカ英語に多い far の r を発音する方言などでは、「リエゾン」(liaison)という語を用いる必要はないようです。
サラ
R-liaison の解説
ロングマン発音辞典P. 663 にも R-liaison の説明があるのでこちらもぜひご覧ください。
また、「イギリス英語音声学(ポール・カーリー, インガ・M・メイス, ビバリー・コリンズ著, 三浦弘訳)」にも解説がありますのでぜひ参考にしてください。
また、牧野先生の「単語間の音のつながりをめぐる用語について」という記事がとても分かりやすいのでぜひこちらもご覧ください。
a name と an aim は同じ発音?
最後に、「リエゾン」でなく「リンキング」に関連してですが、
- a name
- an aim
をスムーズに読んだとき、これらは同じような発音に聞こえますが、 “完全に同じ” 発音だと思いますか?
ちょこっと上級向けの記事ですが、a name vs an aim が “完全に同じ” 発音かどうかはこちらの記事で整理しているので合わせてご覧ください。
【単語間の音連続】a name と an aim は全く同じ発音か?
look out がリンキングすると aspiration は起こる?:気音(帯気音)について
またこちらもちょっと上級ですが、look out のような場合で、この2語がつながって読まれるとき、 /k/ は気音= aspiration を伴うのでしょうか?