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サラ
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J.C. ウェルズ「英語のイントネーション」(研究社):English Intonation ― An Introduction
この記事は発音指導者または、発音上級者向けの記事です。J.C. ウェルズ「英語のイントネーション」(研究社)をだいたい理解しているレベルの学習者向けの記事ですのでご了承ください。
核が上昇調の尾部(tail)について
核が上昇調の尾部(tail)について気になったことがあったので備忘録として記事にしておきたいと思います。
前述の「英語のイントネーション」などの書籍を読むと、
核が上昇調の尾部(tail)は尾部の最後まで上昇を続ける
というような説明があります。
これに関して、
と感じる時もある気がしていて、実際はどうなのかなぁと思っていました。
松坂ヒロシ著:「歯型と絵で教える英語発音 ―発音をはじめて教える人へ―」
そんな時、松坂ヒロシ先生の「歯型と絵で教える英語発音 ―発音をはじめて教える人へ―」を読んでいた時に、以下の図を見つけました。
これは that が核なのですが、その後は核の後で上昇がほとんどなく、平坦なまま保たれているのが分かります。もちろんこれはイントネーションに特化した本ではないのですが、この尾部についてとても気になったので少し調べてみました。
Beverley Collins, Inger M Mees and Paul Carley の「Practical English Phonetics and Phonology Fourth Edition」
すると、Beverley Collins, Inger M Mees and Paul Carley の「Practical English Phonetics and Phonology Fourth Edition: (Routledge) 」で以下のような記述を見つけました。
核が上昇調で、多くの音節がある長い尾部
核が上昇調で、多くの音節がある長い尾部の場合は
…the rise tends to be very slight, or the tail may even stay level…
上昇はわずかになる傾向があり、尾部が平坦にとどまりさえする
とありました。
やはり核の後で上昇がほとんどなく、平坦なまま保たれている時もふつうにあるようです。
サラ
サンプル:上昇調の核+長い尾部
実際にサンプルを聞いてみましょう。
以下の例では always(の al-)で上昇し、その後 -ways had a bit of a different bar for transportation がほぼ平坦に読まれている例です。
we’ve always had a bit of a different bar for transportation
NBC Newsより
we’ve always had a bit of a different bar for transportation のピッチ変化
以下の例では driving(の driv-)で上昇し、その後 -ing was a better idea がほぼ平坦に読まれている例です。
and for those who thought driving was a better idea
NBC Newsより
and for those who thought driving was a better ideaのピッチ変化
以下の例では consequences(の con-)で上昇し、その後 -sequence of the strike では上昇がほとんどなくほぼ平坦に読まれている例です。
Meanwhile, the potential consequences of the strike are growing.
NBC Newsより
Meanwhile, the potential consequences of the strike are growing.のピッチ変化
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発音・音声学書籍リスト
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らいおん