らいおん
よく日本人が最も聞き分けが苦手な音素は /l/ と /r/ だと言われるけど、他にも日本人が聞き取りを苦手とする音素はあるのかな?
リスニングの研究を1つ紹介するよ!
ひよこ
この記事を書いた人
サラ
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日本人が苦手とする英語の音素の聞き分け
英語のリスニングが難しい理由は様々ですが、日本語母語話者にとって聞き取り・聞き分けが難しいものの1つに、英語としては音素として区別されるが日本語では言語的対立をなしていない音の区別があります。
例えば、
- /l/ vs /r/
- /b/ vs /v/
などがあります。
音節のはじめ・音節末における子音の聞き取りの難易度に関する研究
以下の「英語リスニング指導ハンドブック」の第15章「リスニングの科学」では菅井(2006)の研究が取り上げられていたので紹介します。
らいおん
菅井先生の論文はどれもとても興味深く、リスニングの研究に興味がある人は必見だよ!
ちなみに菅井先生はこの「英語リスニング指導ハンドブック」の共著者の一人だよ!
ひよこ
日本人が聞き取りが苦手な子音:音節のはじめ
音節のはじめでは、以下の音素の聞き取りの正答率が低かったようです。
音節のはじめで日本人が聞き取りが苦手な子音
- /ð/
- /θ/
- /r/
- /v/
- /l/
出典:日本人 EFL学習者の英語子音知覚 – 単音節語における難易度の調査-
出典:日本語母語話者は英語をどのように聞いているのか ― ボトムアッププロセス処理研究から応用へ ―
らいおん
詳しいリサーチのデザインなどはぜひ上記リンクをご覧ください!
日本人が聞き取りが苦手な子音:音節末
一方、音節末では、以下の音素の聞き取りの正答率が低かったようです。
音節末で日本人が聞き取りが苦手な子音
- /l/
- /v/
- /ð/
- /b/
- /ʒ/
- /dʒ/
- /m/
- /n/
- /θ/
ここまでが正答率50%以下だった音節末の音素です。
らいおん
今回は音節はじめや音節末での研究で、語中ではまた結果が変わるかもしれないけど非常に興味深いね!
その他にも聞き取りが難しい文節音に関する研究は数多くされているよ!(Horibe and Furuhashi, 1974; 小池, 1978; ラドー, 1959)
ひよこ
発音・聞き分けには学習開始年齢が重要?
なお、上記のような音素の聞き分け・聞き取りについて「リスニング指導ハンドブック」では以下のように書かれています。
このような文節音の知覚・発音については、学習開始年齢が重要ですが、早く始めるのが良いと言えるほどはっきりと実証されているかというと必ずしもそうではなく、まだ議論の余地があります(原田, 2011)。
また、成人してからであっても訓練によって /l/ と /r/ が適切に区別できるようになるという調査結果も報告されています(山田, 1997)。
リスニングに関する研究は以下の論文なども参考になります!
サラ
英語リスニング指導における ポーズ挿入と減速の効果についての研究
英語リスニング指導における ポーズ挿入と減速の効果についての研究:池上真人
英検リスニング問題の音声加工による聴解度向上の可能性
英検リスニング問題の音声加工による聴解度向上の可能性:鈴木 隆一
初級英語学習者の聴解に与える 発話速度調整の効果
初級英語学習者の聴解に与える 発話速度調整の効果 :小屋 多恵子