【イギリス英語発音派必見】TH-frontingとは

この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

TH frontingとは

この記事では TH-fronting という英語の音声現象について簡単に説明します。TH fronting は簡単にいうと

“th” の発音が “f” や “v” で発音されること

を言います。

 

/θ/ → /f/に、/ð/ → /v/に

TH-fronting が起こると、

/θ/ → /f/

 

/ð/ → /v/

と発音されます。

 

TH-fronting の例

TH-fronting の例を具体的に見ていきましょう。例えば、

  • three → free
  • threat → fret
  • thing /θɪŋ/ → /fɪŋ/
  • other /ˈʌðə/ → /ˈʌvə/

のようになります。

 

WikipediaのTH-frontingの解説

以下のWikipediaのTH-frontingの解説も参考になると思いますので一度ぜひ読んでみましょう。

参考 Th-frontingWikipedia

 

TH-frontingが起こる方言:イギリス英語など

TH-frontingはイギリス英語をはじめ、様々な方言で聞かれる音声現象です。上記Wikipediaの記事では、

Th-fronting is a prominent feature of several dialects of English, notably Cockney, Essex dialect, Estuary English, some West Country and Yorkshire dialects, African American Vernacular English, and Liberian English, as well as in many non-native English speakers

と説明されています。

らいおん

アメリカ英語でも黒人英語(African-American Vernacular English )などでTH-frontingが起こることもあるね!

 

Geoff Lindsey著 English After RP:Standard British Pronunciation Today

さて、ここからがある意味でこの記事の本題なのですが、Geoff Lindsey著 English After RP:Standard British Pronunciation Today という本をでのTH-frontingに関する解説を簡単に紹介します。

この本は現在の標準的イギリス発音について、これ以上ないくらい分かりやすく解説している本でイギリス英語発音派は必見の本です。

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Geoff Linsey のEnglish After RPについては以下の記事で紹介しています。 【イギリス英語発音派必見】Geoff Lindsey著 English After RP:Standard British Pronunciation Today

 

コックニー(Cockney)とTH-fronting

まず、English After RPではコックニー(Cockney)と呼ばれるロンドン労働者階級アクセントについて、

Cockney, the traditional working class accent of London, was notable for replacing word-initial /ð/ with /d/ and otherwise replacing /θ/ with /f/ and /ð/ with /v/. In Cockney, this could be /dɪs/, think could be /fɪŋk/, and other could be /ˈʌvər/.

という記述があり、ロンドン労働者階級アクセントであるCockneyでは語頭の/ð/ が /d/ に置き換えられ、または /θ/ → /f/ に、/ð/ → /v/ に置き換えられるので、

  • this → /dɪs/
  • think → /fɪŋk/
  • other → /ˈʌvə/

などになり得ると説明しています。

 

RP(イギリス容認発音)でのTH-fronting

RP(イギリス容認発音)でのTH-frontingについては以下のような説明があり、

RP speakers did not make replacements of this kind. In the RP era, the loss of the “th” sounds was restricted to broad lower-class speech in London and a few other locations, and was heavily stigmatized.

RP話者はTH-frontingをしなかった(過去形な理由は次セクション。TH-frontingはロンドンやその他いくつかの場所の lower-class speech に制限され、 heavily stigmatized だったといいます。

RPは “outdated” に

なお、これまで標準的イギリス発音と呼ばれてきた RP = Received Pronunciation (容認発音)はイギリス英語を学ぶ学習者のモデルだったと思いますが、現在ではRPはかなりすたれて = outdated きていると言われています。

RPに変わり、現在のイギリス標準的発音を

イギリス南部標準発音 = Standard Southern British pronunciation (SSB) 

と呼び、このSSBとRPがどう違うかを English After RP では分かりやすく解説しています。

 

現在のイギリス英語でのTH-fronting

RPでは heavily stigmatized とされていたTH-fronting ですが、English After RPによると現在のイギリス英語では、

…TH-fronting is becoming considerably more widespread. It can be heard across Britain, from speakers in all educational and socio-economic groups, mainly from the young but also from some middle age. 

TH-fronting はかなり広がってきており、イギリス中の、全ての教育・社会経済的集団で聞かれるというのです。主に若い人たちを中心に、ただ、中年の人でもTH-fronting が確認できるそうです。

 

[ð] → [v] がイギリス英語で最も一般的なTH-fronting

最後に、Geoff Linseyによると、TH-fronting の中でも最も一般的なのが other → /ˈʌvə/ のような [ð] → [v] の変化だそうです。

詳しくはEnglish After RPをぜひ読んでみてね!

ひよこ

 

TH-frontingまとめ

この記事ではTH-fronting に関して簡単に紹介しました。今のところ、イギリス英語に多い音声現象と言えますが、知らないとなかなかリスニングで反応できないのでアメリカ英語派の人もぜひ知識としておさえておくといいと思います。

先日ちょうどアメリカのニュース(NBC News )を聞いていた時、イギリス人政治家のTH-fronting された threat という単語が「ん?fret?」と思ってすぐに聞き取れませんでした。今後ますますTH-frontingを聞く機会が多くなるかもしれませんね。

 

TH-fronting のツイートもチェック!

 

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