【/r/の前の母音】アメリカ英語の最近の傾向

この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

/r/ の前の KIT母音、FLEECE母音

この記事は英語音声学の基礎知識がある上級者向けの記事です。自分の備忘録も兼ねて記事にしておきます。

here や near などの r の前の母音に関してなのですが、Paul Carley & Inger m. Mees著「American English Phonetics and Pronunciation Practice」P. 133には

here の r の前の母音は最近のアメリカ英語ではKIT母音でなくFLEECE母音になってきている

という記述があります。

 

/r/ の前の KIT母音、FLEECE母音

同様に、「American English Phonetics and Pronunciation Practice」P. 133には

cure のような語でも r の前の母音は最近のアメリカ英語ではFOOT母音でなくGOOSE母音になってきている

という記述もあります。

Paul Carleyらの言うこのような「最近の傾向」についての記述がある、ということは知っておくとよいでしょう。

 

r の前では /ɪ, i/、/ʊ, u/ は対立がなくなる?

なお、このことに関して、自分なりに調べたり、詳しい人に質問したりしたところ、

r の前では /ɪ, i/、/ʊ, u/ は対立がなくなる

というコメントをもらいました。

例えば、先ほどの near のように /r/ が続く環境におけるKIT母音、FLEECE母音については、/ɪ/ と /i/ の対立はなく中間的な音質になるとのことで、中和が起きているようです。また何か分かったらこの記事に追記します。