サラ
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歯型と絵で教える英語発音―発音をはじめて教える人へ―:松坂ヒロシ著
2021年9月に松坂ヒロシ先生の新著「歯型と絵で教える英語発音―発音をはじめて教える人へ―」が開拓社より発売されました。この記事で簡単に紹介したいと思います。
松坂ヒロシ先生の「英語音声学入門(研究社)」は必見
松坂先生は僕も大ファンで、以前からも紹介していますが、松坂先生著の「英語音声学入門(研究社)」は超おすすめの英語音声学入門書籍です。以下のYouTubeでも紹介しているので興味があるからはこちらもご覧ください。
「歯型と絵で教える英語発音」はビジュアルが豊富&分かりやすい
さて、松坂先生の新著「歯型と絵で教える英語発音」に話を戻しますが、この本は発音指導者は必見の一冊です。
この本の大きな特徴として、
ということが挙げられますが、正しい発音のビジュアルだけでなく、「こういう風に学習者が誤って発音してることが多い」という時の舌の位置などもビジュアル化してくれてる箇所もあり、気づきが本当に多くすぐにレッスンで使えるネタがたくさんです。
「歯型と絵で教える英語発音」のツイートもチェック!
「歯型と絵で教える英語発音」の気になった部分や、興味深い解説について以前ツイートしました。
もうおすすめしてしまおう‥発音指導者は必見の一冊です
ビジュアルが本当に分かりやすいんだけど、正しい発音のビジュアルだけでなく、「こういう風に学習者が誤って発音してることが多い」という時の舌の位置などもビジュアル化してくれてる
気づきが本当に多く、すぐに使えるネタがいっぱい https://t.co/Ewfbt2VWRX
— サラ🌐 「Q&Aサイトから読むアメリカのリアル」発売しました!🇺🇸 (@salah_backpack) September 9, 2021
らいおん
ひよこ
苦手な人も多い year の発音
例えば、苦手な人も多い「year の発音」についてですが、
というおもしろい解説がありました。
そして、関西弁ネイティブの「家や」の音声が聞きたい思っていたら、Twitterで以下の音声をツイートいただけました。
yearは下手ですが比較やってみました(関西ネイティブ)。確かに口の形は違うものの、舌の形は同じですね。#語学は晒して伸ばす https://t.co/VyBaHVDFJw pic.twitter.com/wgMxxSRij8
— RYU. 🐉🇫🇷🇰🇷🇨🇳🇭🇰🇺🇸Shadowing Exercise (@ryuryuryubass) September 14, 2021
らいおん
caught vs cot の母音の発音
「caught vs cot の母音の発音」に関しては、発音指導者でも意見の分かれるところかもしれませんが、以下のような記述がありました。
caught などに出て来る母音を cot などの母音で指導するべきか…
「私は両者を別の発音で教えるべきだと考えている」
これは僕も同感で別々で教える派です( ɒ の発音を教えたりしますが) 。ただ、そうじゃない指導のいいところももちろんありますね!
英語の第2アクセントの重要性
また、単語などでの第2アクセントの重要性についても以下のような説明がありました。
第2アクセントの存在に注意を向けない指導者が多いですが第2アクセントは大切‥
乱暴な単純化かもしれませんが international の第1アクセントと第2アクセントに差がつけられなければ、第2アクセントを第1アクセントと同じ強さで言ってよい、と指導します。
これは本当に同意で、第2アクセントは非常に大事だと思います。
サラ
単語の第2アクセント、絶対に軽視したらダメ!:YouTube動画
英語での低いピッチの重要性
また、英語での低いピッチについて、以下も非常に共感します。
…イントネーションを教える時に指導者が直面する苦労に「学習者に低い声(低いピッチの声)を出させる」ということがあります。
第一に、声域の下まで声を急に降ろすイントネーションが多くの学習者にとって難しい事柄です。
以下の第二の問題も共感です。
「低い声でセンテンスの長い部分を言う」のは多くの学習者にとって楽ではありません。
例 HE said she’d arrive at five o’clock. HEだけ高く、残りを低く保つ感じの時
これらは多くの発音指導者が直面する課題だと思います。
なお、これについてこの記事ではこれ以上は触れませんが、「低い声」「低いピッチ」=「英語は全体的に声を低くして話すと英語的な発音なる」と考えている人もいるかと思いますが、英語では高い声も低い声も必要で、声を低くするだけで英語っぽくなる、は正確ではありません。
学習者の英語の発音を真似する能力
次。「学習者の発音を真似する能力」の重要性については言うまでもないかもしれませんが、これもとても共感です。
「発音の指導者は、学習者の発音を聞いて舌や唇がどう動いているかを特定する能力、およびその理解に立脚して”学習者の発音を真似る能力”を持つべきです…
松坂ヒロシ先生が名言だと思っている名言
そして、”松坂ヒロシ先生が名言だと思っている名言”として、以下が紹介されていました。
「速くしゃべれるようになりたければ、ゆっくり話せ」
英語学習者は不明瞭な発音で話していると、結局スピードのある話し方を身につけることは出来ず、それでも無理にスピードを上げると、通じない英語になってしまう。
本当に名言過ぎますね。これは中尾清秋先生(早稲田大学名誉教授)のお言葉だそうです。
「速くしゃべれるようになりたければ、ゆっくり話せ」 は本当にそう思います。丁寧に読めて、その後ではじめて高速化するのがいいでしょう。
そして、これはリーディングについてもそう思います。「速く読みたければ、ゆっくり読め」という感じ。
発音の自動化
以下の部分も共感です。
発音指導の究極の目的は、学習者が発音を意識しなくとも明瞭な発音で英語を話せるようにすること、すなわち発音において「自動化」を達成するのを支援することです。
発音練習であっても、スピーキング練習であっても、常に「自動化」するとこまで練習することを意識するのがいいと思います。
th /θ/ の発音
松坂ヒロシ先生の以下の th /θ/ の説明はとてもイメージしやすく分かりやすいです。指と割り箸を使ったビジュアルです。
ある英語音声教育者の規範: 五十嵐新次郎が追求した正確さ: 松坂ヒロシ
最後に、読まれたことある方も多いかもしれませんが、松坂ヒロシ先生の恩師である五十嵐新次郎先生についての話を紹介します。松坂先生が「ある英語音声教育者の規範: 五十嵐新次郎が追求した正確さ」というタイトルで書いています。
こんなレベルの音声学の授業を大学生の時に受けてたらなぁと思います。
参考 ある英語音声教育者の規範: 五十嵐新次郎が追求した正確さ: 松坂ヒロシ日本英語教育史研究
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発音・音声学書籍リスト
僕が読んでいる発音本・音声学書籍紹介は以下の記事にリストにしてまとめていますので興味がある人はぜひご覧ください。
【中・上級者向け102冊】英語の発音向上におすすめの本・音声学書籍レビュー