僕が読んでいる発音本・音声学書籍:本記事最後からリストへ飛べます
らいおん
Rの発音の仕方やコツを解説するだけでなく、様々なRの舌の形やマメ知識まで、英語学習者が知っておきたいことのほぼ全てを網羅している記事になっているよ!
その中から分かりやすいRの発音解説を引用・紹介もするよ!
ひよこ
サラ
目次:見たい場所へジャンプ
日本語の「ラ行子音」と「英語のR」の違いは?
R音の攻略は、日本語の「らりるれろ」の「ラ行子音」と「英語のRが」どう違うかを理解するところから始めるといいでしょう。本記事では、まずは以下で日本語の「ラ行子音」の特徴と「英語のR音」の特徴を整理し、その後で本サイトがおすすめするRの発音方法を解説します。
日本語の「ラ行子音」は舌先が歯ぐきに触れる「弾音」
日本語で「らりるれろ」と言ってみてください。この時、舌先が歯ぐきを素早く弾いているのが分かるかと思います。
のです。これが「ラ行子音」の最大のポイントです。
日本語の「ラ行子音」はいくつかバリエーションがある
ただし、日本語の「ラ行子音」は、語中のどこに「ラ行子音」があらわれているかや、個人の発音のスタイルによって、いくつかバリエーションがあります。
- 「からあげ」
- 「ラーメン」
- 「かんらんしゃ(観覧車)」
のラ行子音は全て異なる音になる可能性もあります。
母音に挟まれている日本語の「ラ行子音」は弾音であることも多いと言われていますが、このことに関しては以下の記事でまとめていますので参考にしてみてください。
英語のRの発音の特徴
一方で、英語のRの発音の特徴としてまずおさえておきたいポイントが、
- 舌先はどこにも触れない
- 唇は少し丸まって少し突き出す
- 喉の奥を緊張させて震わせ、こもった音を出すイメージ
- 様々なRの発音方法がある
という4つです。
まずは英語のR音はこの4つの特徴があるという全体像を持ちましょう。
英語のRの発音方法・コツ
それでは前置きが長くなりましたが、ここからは英語のRの発音方法を見ていきます。以下が本サイトでおすすめする「Rの発音方法」です。以下の6ステップでRを発音してみましょう。
- まずは da da da…と言う
- 何度か繰り返した後、 d のところで少し舌をそり返す
- 「ラ」のような音に変わる
- 舌先を歯ぐきから少し離す
- 唇を少し丸めて突き出して「ゥゥラ」= ra と言ってみる
- R音の完成:喉の奥を緊張させて震わせるイメージを持ち、こもった音で発音する
らいおん
英語のRを発音する時は舌先はどこにも触れない
上記6ステップでRの発音方法を理解したら、まず英語のRの発音で最も重要なポイントを確認しましょう。それは前述の通り、英語のRは舌先がどこにも触れないということです。特に、
であると言えます。歯ぐきに舌先が接触すると別の音になるので、歯ぐきに舌先が触れていないか常に注意しましょう。
英語のRの発音は「唇は少し丸め、喉の奥を緊張させる」イメージで
Rを発音する時、唇は少し丸まり、少し前に突き出ます。慣れるまでは大げさに唇を丸めて練習しましょう。そのうちそれほど力まないでできるようになるはずです。
また、喉の奥を緊張させて震わせ、こもった音を出すイメージで発音すると上手くいきます。
まずは ra, ri, ru, re, ro で英語のR発音を練習してみる
ここまでのポイントを理解したら、英単語の前にまずはR音で
- ra
- ri
- ru
- re
- ro
と繰り返し発音練習してみましょう。
Rの発音は小さい「ゥ」を入れて発音してみる
また、英語のRの発音を練習する時は、曖昧な小さい「ゥ」を入れて発音してみるのも効果的です。ra, ri, ru, re, ro とR音で練習する時に、慣れるまでは以下のように練習するのもいいでしょう。
ゥra
ゥri
ゥru
ゥre
ゥro
英語のRの発音を単語で練習
では単語でR音を練習します。以下の語を発音してみましょう。
right, rate, red, road
R発音のコツ:舌の両側を上の奥歯に当てて「ウー」と発音してみる
さて、ここまで紹介したの練習法で上手くいかない、なんかしっくりこないなと感じる時、またはもう少しきれいなR音が出せないかなと感じている時は、
してみましょう。
両方の奥歯に舌の両脇が当たっているときれいなR音が出せます。ただし、この時も舌先はどこにも接触しないので、歯ぐきなどに舌先が触れないように注意しましょう。
ひよこ
らいおん
Rの発音の仕方は2種類ある
さて、ここからは少し発展的な知識にはなりますが、英語学習者ならぜひ知っておきたいRの舌の形について解説します。「英語のRは巻き舌か?」ということについて見ていきます。
英語のR音 = 巻き舌のRと考えている人も多いかもしれません。その認識は間違いではないのですが、結論を言えば実際はいろいろなRの調音の仕方があり、必ずしもR音が巻き舌で発音されるわけではないことをまず覚えておきましょう。
アメリカ英語ではRの発音の仕方は大きく分けて2種類あります。下の図は研究社新英和大辞典のウェブ発音解説にある図ですが、非常に分かりやすいのでまずこちらをご覧ください。
- (a) もり上がり型 = bunched r
- (b) 反り型(巻き舌)= retroflex r
(a) と (b) はどちらの舌の形で発音しても、聞いた時にほとんど区別がつかない同じ音色を持ちます。つまり、(a) の「もり上がり型」、(b) の「 反り型(巻き舌)」どちらで発音してもよいということです。
もり上がり型:bunched r
まず (a) の図の方ですが、舌の真ん中部分が盛り上がる(= bunched )ことで Rが発音されます。これは
と呼ばれます。
反り型(巻き舌)= retroflex r
次は (b) の図です。舌が反り返ることによって Rが発音されるので、こちらは
と呼ばれます。
R発音はもり上がり型 (bunched r) と反り型(巻き舌)(retroflex r) はどちらが一般的か
2種類のR発音の種類があることはお分かりいただけたから思いますが、ではもり上がり型 (bunched r) と反り型(巻き舌)(retroflex r) はどちらがネイティブスピーカにとって一般的なのでしょうか?
「新装版 英語音声学入門(竹林滋・斎藤弘子共著)」には
と書いてあります。
ひよこ
また、「ビジュアル音声学:川原繁人著(三省堂)」によると、以下のような非常に興味深い解説があります。
最近の研究では驚くべきことに、同じ家族でも同じ方法でRを発音するとは限らず、同じ話者であっても、時に「反り舌のR」、時に「盛り上がり舌のR」を使うことがあると報告されている。
こういった状況をふまえて…自分にとって楽な調音の仕方を選べば良い。Rに関しては「唯一正解の調音の仕方」は存在しないのである。厳密に言えば、たくさんの正解が存在する。
らいおん
ひよこ
らいおん
三省堂「ビジュアル音声学」の補足資料:MRIによる発音動画
三省堂「ビジュアル音声学」の補足サイトがありMRIによる発音動画が見れます。
上から2番目の dirt の/ɚː/ 発音のMRIをぜひ見てみてください。
動画なので、どのように舌が動き、/ɚː/ の音が調音されているかが可視化できます。
参考 補足資料サイト三省堂「ビジュアル音声学」
/ɚː/ と /r/ の違いは?両方R音なの?
ところで、上記動画はdirt の /ɚː/ 発音についてですが、鋭い人は「dirt の /ɚː/ と red /rɛd/ などの /r/ はどう違うのか?」と疑問に思うかもしれません。結論から言うとどちらも英語のR音と言って基本的に差し支えないのですが、
- /ɚː/ は息の続く限り継続できる母音
- /r/ は持続することがなくすぐに次の母音へと移行する半母音である
と整理できます。
本記事中盤では、ra ri ru re ro のように練習することを紹介しましたが、これはすぐに次の母音に移っているので /r/ の方の練習と言えます。
一方で、Rの練習は rrrrr…. のように継続して発音する練習することも効果的です。このように継続してR音を発音した場合は /ɚː/ になります。
/ɚː/の発音
英語の半母音とは:/r/ /j/ /w/
ちなみに、この記事では詳しく扱いませんが
があります。
母音と半母音の違い
母音と半母音はどう違うか、ですが、簡単に言うと、
- 母音:息の続く限り持続できる
- 半母音:母音であるが、持続はできず、すぐに次の母音に移行する
と整理できます。
まとめ:発音・音声学書籍のRの発音解説
さて、ここまででRの発音について英語学習者がで知っておきたいことはカバーしました。最後に、R音の発音の仕方の「まとめ」として本記事を書くにあたって参考にした発音・音声学書籍4冊のRの発音解説を紹介・引用します。以下の中から自分が最もピンとくる発音方法を参考にして練習してみましょう。
サラ
「新装版脱・日本語なまりー英語(+α)実践音声学:神山孝夫著」のRの発音解説
まずは神山先生のRの発音解説です。非常にシンプルで分かりやすいため、本記事はこの解説を参考にさせていただきました。
- まずは「ダ」すなわち [da] と言ってみてください。これを何度も言いながら子音部、すなわち [d] のところで少し舌をそり返してください。
- すると、 「ラ」のような音に変わっていきます。軽い反り舌音を含んだ [ɖa] になったんです。
- この [ɖa] を繰り返し言いながら、子音部分で舌先を上あご(後部歯茎部ないし前部硬口蓋)から少し離すことができますか?ついでに唇を少し丸め突き出してみましょうか。
- すると曖昧模糊とした「ゥゥラ」のような音が出てきませんか?この子音こそ英語のRです。
「日本語ネイティブの苦手な英語の音とリズムの作り方がいちばんよくわかる発音の教科書:靜哲人著」のRの発音解説
次は靜先生のRの発音解説です。こちらも非常にシンプルで分かりやすいです。
- 舌先を反らせて歯ぐきの後ろの方に近づけます。近づけるだけで、どこにも接触させてはいけません。
- キスするようなつもりで唇を丸めて少し突き出します。
- その状態で「ウー」と言うとそれが r の音になっています。
- 次の母音に移る時、舌先をどこにも接触させないこと。
「英語音声学入門:松坂ヒロシ著」のRの発音解説
次は松坂先生のRの発音解説です。この「英語音声学入門」は僕の超お気に入り音声学書籍の1つです。
- 調音位置:歯ぐき後部
- 舌先を巻き上げ、歯ぐき後部に近づけ、せまい通り道を作る。ただし舌先がもっと後ろまで引かれていても同じような響きの音が出るので調音位置の許容範囲は広く考えてよい。
r の舌の形を得るためには以下のことを実行すると有効である
- 舌全体を口の後ろの方へ引くこと
- 舌先を巻き上げること
- 上の奥歯の内側の歯ぐきを、舌の両脇で、左右同時になめること
- r の響きが不十分な場合には、舌先を歯ぐき後部に近づけ、行きの通り道を狭くすること
らいおん
「初級英語音声学:竹林滋、斎藤弘子、清水あつ子著」のRの発音解説
最後は「初級英語音声学」のRの発音解説です。この本はこれから本格的に音声学を学びたい英語学習者に最もおすすめな1冊です。
- アメリカ英語では舌のかまえは舌が盛り上がった方が舌を反りかえらせた形よりも一般的だが、両者に音色の違いはない。音声記号は [ɹ] のように書くが英語の音素として書く時は /r/ でかまわない。
- この音は日本語の「ラ行」の子音とはかなり異なるので「ラ行」を代用してはならない
- 日本語の「ラ行」の子音は主に歯茎たたき音の [ɾ] で、舌先が歯茎に触れるが、英語の /r/ はどこにも触れない。
- 語頭の /r/ では red を「ゥレッド」のように直前に軽く「ゥ」を添えるように指導することもあるが、これは唇をややまるめるとともに、舌先が歯茎に触れないための配慮である。
「おすすめ発音記事」カテゴリでまだまだたくさん発音に関する知識を紹介しています。
発音・音声学書籍リスト
僕が読んでいる発音本・音声学書籍は以下の記事にリストにしてまとめていますので興味がある人はぜひご覧ください。
らいおん