【flap t の発音】どんな条件で起こるか?

この記事を書いた人

サラ

英語ジム らいおんとひよこ®代表
・コロンビア大学 大学院卒:英語教授法修士
・ETS (Educational Testing Service) 米国本社の元問題作成者

 

flap t の発音が起こる条件は?

この記事では flap t がどんな時に起こるかを簡単に整理します。特にアメリカ英語派の人はぜひ参考にしてください。

NOTE
「弾音」「たたき音」「tap」などと呼ばれたりもします。これらを厳密に区別する場合もありますが本サイトでは flap t と呼びます。

 

flap t とは?ラ行子音?

flap t は日本語のラ行子音に近いですが、本サイトでは、

flap t = 速い d 音

で覚えることをおすすめしています。例えば、Betty なら

Beddy のようにイメージして、速い d 音で発音する

とうまくいきます。

らいおん

この記事は flap t が起こる条件を紹介するのが目的なので「flap t とは?」についてはこのくらいにとどめます!
以下のYouTube動画で flap t の発音のコツや練習などについて詳しく解説していますのでこちらもぜひご覧ください!

ひよこ

 

flap t が起こる条件というのは実はとても複雑?

さて、前置きはこのくらいにして、以下に flap t が起こる条件を簡単に整理します。この記事では

  1. [ ざっくり原則 ]
  2. [ 基本ルール ]
  3. [ちょっと応用ルール ]

の3つに分けます。

なお、上記動画でも説明しているのですが、flap t が起こる条件というのは実はとても複雑です。

よって、上記の 1と2のルールだけ(あるいは1だけでも)覚えるのでも十分だと思います。また、以下がピンとこない場合でも、多くの場合 辞書で flap t になる語を調べることもできるので辞書を参考にするのもいいと思います。

らいおん

以下はけっこう難しいのもあるのであくまで参考程度にしてね!

 

flap t 発音が起こるとき:ざっくり原則

まずは以下がざっくりな大原則です。

ざっくり原則

「母音」と「母音」に/t/が挟まれているとき

発展

*正確には、「母音(or 母音のような特徴を持つもの)」と「母音(or 母音のような特徴を持つもの)」に/t/が挟まれているとき

*さらに正確には、「有声音かつ子音以外の音」に/t/が挟まれているとき

 

flap t 発音が起こるとき:[ 基本ルール ]

次に覚えておきたい基本ルールです。flap になる多くの場合はこの次の2つのルールに基づいています。

基本ルール

① 1語内で起きる場合、/t/が母音の間にあり、かつ後ろの母音にアクセントがないこと:betterなど

 

② 2語にまたがって起こる場合は、単語の境界を越えて、/t/が母音に挟まれていること。この時は/t/の後ろの母音にアクセントがあってもよい:get out, shut upなど

flap t 発音が起こるとき:[ちょっと応用ルール ]

最後はちょっと応用ルールです。

応用ルール

③ /t/の前に「母音の特徴を併せ持つ/l/(dark l*)」があり、後ろにアクセントのない母音が続く場合。ただしこの場合の弾音化は普遍的なものではない:shelter, malted など

 

④ 「母音」+/n/+/t/+「アクセントのない母音」のようになっている場合。「鼻音化した弾音」にもなる。ただしこの場合の弾音化は普遍的なものではない。また弾音でなく完全に/t/ が消えることもある:winter, center など

 

⑤ /t/の前に「母音の特徴を併せ持つ/r/*」があり、後ろにアクセントのない母音が続く場合:party, forty など

 

⑥ /t/の前に母音があり、/t/の後に「音節主音的な /l/」(音節を作ることができる母音のような特徴を持った/l/)がある場合:battle, little など

発展
* /l/の後に子音が続く場合と何も来ない場合に dark l となる。

細かく言えば、アメリカ英語において、母音に挟まれた/l/、子音の前の/l/、または語末にあって音節主音ではない/l/、及び語中または語末にあって音節主音的子音になる/l/はdark lとして扱われ、舌根が後ろに引かれる「咽頭化」という二次調音が起こり、「オ」のような響きを持つ。

NOTE
*「母音の特徴を持った /r/」=「半母音」または「わたり音 glide」と見なせる /r/ )

 

まとめ:flap t が起こる環境

前述しましたが、まとめると、flap t がどんな環境で起こるかは、まずは以下を覚えておけばまずは十分です。

ざっくり原則

「母音」と「母音」に/t/が挟まれているとき

基本ルール

① 1語内で起きる場合、/t/が母音の間にあり、かつ後ろの母音にアクセントがないこと:betterなど

 

② 2語にまたがって起こる場合は、単語の境界を越えて、/t/が母音に挟まれていること。この時は/t/の後ろの母音にアクセントがあってもよい:get out, shut upなど

 

英語の /t/ の弾音化:深く知りたい人におすすめの解説記事

この記事は以下の「/t/の有聲化・/t/の弾音化について」というシリーズをもとに作成させていただきました。僕が知る限り、少なくともオンラインで無料で読める日本語の記事の中では最も詳しく正確な説明がされています。

著者のあっさーさんは /t/ の弾音化を研究されている大学院生の方です(非常に勉強になるので僕はTwitterでも勉強させてもらっています)。

ところどころかなり上級者向けですが、気づきがたくさんありますのでぜひ読んでみてください。

/t/の有聲化・/t/の弾音化について

 

フラッピングとは

また以下のWikipediaの「フラッピング」の記事も非常に参考になるのでぜひこちらもご覧ください。

参考 フラッピングWikipedia